スピン・テクニック
オーバーステアリングによるスピンは、実はあらゆる車に起こることで、速度を出しすぎてカーブに入ってしまい、そこで渋滞なり、飛び出したネコなりのために急なフルブレーキをかければ、どんな車でもオーバーステアはでます。
しかし、ここで356が問題になるのはリアタイヤの位置変化が大きいことで、
リアタイヤが逆ハの字になり、トレッド(タイヤとタイヤの間の幅)が狭くなること
タイヤが傾くので接地面が小さくなって摩擦が急に少なくなること
これにより、それまで安定していたリアタイヤは急速に摩擦を失って、低い速度(時速40キロ)でもスピンをしてしまいます。
356のリアタイヤの位置変化を大きくさせる要因として
ブレーキで前が沈みこんでリアボディが持ち上がること
カーブでボディが傾くので前後ともに外側が沈み、内側タイヤが加重を持たずに下に下がること
さらに急なシフトダウンでクラッチを回転をあわさずにエンジンブレーキを掛けるように使うと、「外側タイヤは加重で重いのでボディに近くそのまま」ですが、「内側タイヤは加重が抜けてボディが上がり軽くなり、タイヤは下がっている」ので、デフギアを介してドライブシャフトが抵抗として「内側タイヤだけ」をさらに押し下げてしまうことになります。
内側タイヤが下がれば、スウィングアクスルのいたずらでタイヤは斜めになってしまって摩擦を失い、すべての加重は一人でふんばっている外側タイヤにいっぺんにかかるので、これではたまらず、外側も一挙に摩擦を失い、あっという間にその場でクルリと回転をしてしまいます。
シフトダウンによるリアのスピンは「進入速度が速すぎる」ときにおこります。
筑波などのヘアピンコーナーに速度を出しすぎで入ってしまっているのに、フルブレーキしていないのに、あえてシフトダウンを追加してしまう、なんて時に起こり、気持ちよくその場で回転します。
実はその昔、このスピンは「テクニック」であり、タイトコーナーでの回転コーナリングとして使われた時代もありました。
以前のジムカーナテクニックでは、あえてスタビライザーをはずして180度ターンをうまく回る方法として紹介されていたこともありました。
現代のラジアルタイヤはマイルドに滑ってくれないので、計算したスピンは難しく、昔のクロスプライ・タイヤをつければ、これが使えますが、もちろん、356の足回りは傷むので誰もやらないでしょうけど。
それでは1953年プリA356のコーナリングを見てみましょう。
ところがテキトーな写真というのは無いもので、こんな40年前の写真しか見つかりません。 今の海岸でこんなことしたら環境破壊の問題もあり罰金もので、発表するのは考え物なのですが。 どなたかスピン寸前写真のいいのをお持ちでないでしょうかね~
カーブで左右に傾かないと、なかなかリアタイヤのいたずらは起きないのです。
下はスピンに至らなかった写真ですが、ほんの少しの違いでスピンしたはずの写真です。
上の写真と下の写真2枚を交互にクリックしながら姿勢の変化を見てください。
2枚の写真で、直進姿勢と右コーナー後の「右へのかたむき」が見えます。
特に注意したいのが、コーナー写真での、右外側リアタイヤの「逆ハの字」のつぼまりかたと、左前輪の浮き上がりです。見えていませんが左外側リアタイヤは下がりすぎから接地にむけて上に移動中で、この2メートル手前ではスピン寸前であったのが砂地のタイヤあとでわかります。 見えていないリア内側タイヤはスピン寸前まで摩擦を失っていたはずで砂地がほれていません。
この写真では、すでにアクセルが踏まれており(残念)、逆ハの字の右リアタイヤがグリップを取り戻そうとしています。
前の車体はアクセルで加速されたことで浮き上がり(リアが沈むため)、さらにスタビライザー(安定棒)が前輪に無いプリAでは右の前輪が踏ん張り、「そのために左の前輪は浮き上がりグリップを失いかけて」います。
ここで前輪はいうことを効かなくなっていて、ナロー911でよく起こるアンダーステアが前輪に出ていますが、オーバーからアンダーへの急な変化もサーキットでは楽しめるところです。
もっと早い速度ならば、この状態からでも、アクセルを離し、クラッチを切って低いギアにシフトダウンして、「急にクラッチをつなげば」、スピンが始まりますので、次回のジムカーナでは楽しみましょう。
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