T-2からの356Aのエンジンの前に・・・フルトラについて
**616刻印はBタイプからに訂正しました**
ポルシェの資料本を見ると、全部の資料でエンジン形式は1600N(ノーマル60馬力)=616/1。
1600S(スーパー75馬力)=616/2と書かれています。
以前のブログでも書いたように、これには多くのバリエーションがあり、実際のエンジンでは1955年からの3分割(3ピース)エンジンから「1600」、または「1600S」という番号が打刻されています。
1960年Bから、616/1または616/2が打刻されましたが、それ以前は「毎年」エンジンのモデルチェンジがされました。
実は、私がエンジンをさわるたびに、信じられないほど多くのバリエーション(間違った組立)を見るものですから、ボディの変更とかペイントとか、「多少の見た目」についてはかまわないし、配慮が少ないもので、それで自分の356を洗うのが「きらい」で、という言い訳をすると、いつも356を洗ってくれる我が家の奥様に叱られます。
間違った組立のバリエーションは「楽しい」のも多く、オイルプレッシャを途中で「逃がして」、たぶんオイル漏れを防ごうとして油圧弁にドリルで穴が開けてあり、当然の結果として、オイルが回らないで壊れたエンジンでは、斬新なアイデアに驚いたこともあります。
このエンジンは3番シリンダのエア・カバーを半分に切ってあり、これはオーバーヒートしやすい3番の空気を「抜けやすく」したものと思われ、これも当然の結果として、3番ピストンは焼け付いていました。
当時のポルシェ社の技術力はたいしたもので、現代の機械を少しいじくったくらいで、「最新の技術と経験」を使って自動車屋が改造を試みると、全部失敗します。
だいたいが現代の高級技術のつもりで「ポイントのフルトラ化」をしようとして失敗したエンジンばかりが多くて、まあ、それはそれで仕事が増えるのでかまわないのですが。
ケタリング(=ケッタリング博士発明)点火といわれる旧車方式は、ポイントが「トリガー電圧発生装置」となり、点火コイルで電圧を昇華させ、6Vでも1万ボルト近くまで電圧を上げることで、0.4-0.8ミリのプラグの隙間に点火電圧を発生させるのですが、「ポイントのフルトラ」はこれに対しての電圧改善は「ごくわずか」で、体感でわかるようなものではありません。
本来はポルシェ社が開発したCDIのようにコンデンサーからの大電流を流すとか、フルトラアンプで大電圧を発生させるとかの、コイル部分の大改良を含まないとフルトラとは呼びません。 今のあれは「セミトラ」という、国産車でも一時はやった「故障だらけ」のシステムの一部なのです。
電圧の改善よりも、ポイントの隙間調整(0.35から0.45ミリ)が難しいことと、そのポイントの寿命が新品のコイルとコンデンサーでも「1万キロで取替」という、めんどくさいメンテナンスを省略できるという、便利さの技術ではありましたが。
とはいえ、作動は磁石かレーザーを使うので、エンジンの熱による影響と、ポルシェの水が入るエンジンルームでは、「不安定で信用できない装置」であり、「ポイントのフルトラ」は40年も前に、1969年のポルシェ911で開発された最新技術、CDI点火でも採用しませんでした。 ちなみに私はポルシェのCDIは点火が良くて大好きです。
さらに故障が起きた場合、ポイント方式は目で見てすぐに故障が判断できますが、セミトラ方式はテスターが無いと判断がめんどうで、しかも路上での修理はできません。 内部の断線がほとんどで、交換が必要で、これは修理とは呼びませんし。
このセミトラ方式は30年前、930のカレラからスピードセンサーと呼ばれる「クランク角度センサー」に進化して、フライホイールに埋め込まれ、メンテナンスフリーの代名詞として、今では国産車の多くが採用していますが、これの故障はいまでも、しょっちゅうあります。
謎のエンスト、暖まったエンジンが再始動できない、走行中に突然ノッキングなど、今でも皆さんが体験するほとんどのヘンな故障で、犯人の最重要容疑者です。
なあ~にが現代の最新技術だか、笑っちゃいます。 ポイントのほうがよほど壊れません。
書いてるうちに脱線したようで、次回は356のことを・・・、多分・・・

















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